これは、第3作『あの夏…』の続編、というのが大袈裟であれば少なくとも姉妹編であると思っております。(例によって、勝手に…笑)
勿論、物語的には全然違う話だし、登場人物も違うけれども、でもこの2作は物凄く同じ匂いがして仕方がない。ただ違っているのは、『あの夏…』では決して成長を目指さなかった登場人物達が、本作に於いては皆それぞれに”上”を目指して行こうとする点。
例えば、両作ともに主人公達には”先を行く者とそれに付いて行く者”という関係が共通してあるのだけれど、最後迄一方が一方の後ろを(サーフボードの端っこを持って)付いて行くという関係を崩さなかった『あの夏…』に対し、本作に於いては途中で二人の関係は逆転してしまう。
また、脇役の関係にしても、最後迄コメディリリーフとして、いつまでも主人公達の後を付いてまわって、一種のパロディを演じて笑わせたボケボケの万年ジャージコンビ(『あの夏…』)に比べ、本作のコメディリリーフ(番長グループ)達は、最後には一瞬、主人公達さえも追い越してしまう。
一種の”永遠に続く夏の日”を思わせる、ある意味変化を失っていた『あの夏…』の登場人物達に対し、本作のそれは、皆変化を欲し、自ら動いて行こうとする。(まあ、結局はその成長にも、常に挫折の匂いが付いて回っているのだけれど…。でもその中で、脇のさらに脇役ながらも、唯一最後迄成長を続けていたのが、漫才師志望の二人組だったというのもちょっと興味深い)
この登場人物達の変化、成長が、そのまま監督の成長、少なくとも変化であるのは間違いないのではないかと…(何しろ、この2作の間には例の生死を分けかけた事故があった訳で…)
少なくとも、それまでは最後に主人公達を殺す事以外の終わり方を見つけられなかった監督が、本作に於いて初めて主人公達を(ある意味、生き恥をさらしてまで)生かしておいた意味は深いと思う。
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