これは、主人公の胃のレントゲン写真から始まるという(笑)前代未聞の映画。『七人の侍』とは違って、アクションらしいアクションなど皆無の実に静かな作品ながら、手に汗握る展開という点では決してひけを取らない傑作。何しろ、物語中盤で主人公が…そこからの展開が正に圧巻。
それから、主人公渡辺が、”生きる”目的を見つけた瞬間の喫茶店の階段シーン(他人のお誕生会でのハッピーバースデイの歌が、そのまま主人公の再生を祝福している)の上手さは、脚本にはない部分だけに黒澤演出の冴えが見て取れますね。
余談ながら、一時、志村喬演じる渡辺の物真似(「いや、つまり、その…」「満男、満男〜〜〜!」etc…)がマイブームでした。(笑)
あ、更に余談ながら、この作品では毛の生えた金子信雄も拝めます。
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